こはくのうず – 第7章:こはくのでんせつ
光がだんだん弱くなってきたとき、金銀ざいほうがつまった金庫の中にでもいるのかと思ったわ。でも目がなれてきたら、古くさい かじ屋の作業場にいることがわかった。まわりには こはくのカケラがちらばっていた。
向こうの方からカミーユとエゴンの声がわたしの名前をよんでいるのがぼんやりと聞こえてきた。わたしをさがしているようだったけど、ひとりで立ち向かわなきゃならなかったの。
「ようやくだな」と古代から ひびいてくるみたいな声が聞こえて、ゆうれいみたいなすがたが あらわれた。こはく から、まぼろしの黄色いくさりが その人のせなかまでのびていて、自分の作業場にとらえられているようだった。
「スカイラー・チェン」 しょだいマスターが、わたしの名前をよぶのを聞いてゾッとした。「わたしのあとをつぎ、よくやってくれた。こはくを使って、パワーをわり、相手をせいふくした。お前からその力をうばわなければならないのは ざんねんだが、このつぼから だっしゅつするには、よみがえらねばならん」
「よみがえる?まさか…」
「そう、お前の体に乗りうつって、お前のたましいをここに入れるのだ。かんのいい子だな」
わたしの頭の中でコマが回りはじめ、気持ちがせんとうモードになった。こはくマスターが わざと、わたしにゆめを見させたの?お母さんのゆめは、わたしをここにつれてくるための、真っ赤なウソだったの?あかりによってくる虫みたいに、すなおにワナにはまってしまったの?
わたしは、そんな じゃねん をおしのけた。たたかうことなく、自分の体とパワーをうばわれるわけには いかないと思ったの。
「つぼは はらをすかせて、えじきを待っているようだが、それで終わりだと思うな。こはくのパワーを この手に取りもどすのだ!」
とつぜん、まぼろしの手がわたしの方へとのびてきて、自分の中からエレメントパワーをうばいとられていくのを感じた。ひにくなものね…